オートメーションを使う
楽器の演奏音や、MIDIシーケンサーで打ち込んだ演奏情報による楽器音の音量や音の定位などに時間的な変化を加えたい場合には、オートメーションと言う機能を使いましょう。
オートメーションと言う機能では、音量を徐々に減衰させたり、音の左右の定位を、右から徐々に左へ移動させたりする事が出来ます。
オートメーション機能を使うには、トラックのオートメーションボタンをクリックして、トラックのVolumeやPANなど、オートメーションを調節したい項目にチェックを入れる、または、プルダウンなどで選択します。
そうすると、トラックのタイムライン上に線が表示されるので、その線上をクリックすると点が追加されます。
その点をドラッグすると、オートメーションの線が上がったり下がったりします。
トラックのVolumeのオートメーション線であれば、線が上がっていくように描かれた状態にすれば、音量が徐々に上がっていくようになります。
DAWのオートメーション機能を使えば、かなりDTMで作れる楽曲の幅が広がるので、オートメーションの使い方はしっかり覚えましょう。
センドリターンを行う
DTMでミックス作業を行う時は、リバーブやディレイといったエフェクターを使って、空間の広さや狭さを疑似的に作り出します。
ミックス時において、リバーブやディレイでエフェクトを施す際には、センド&リターンという方法でエフェクトを施します。
センドリターンと言うのは、リバーブやディレイだけをインサートしたトラックを作り、そのトラックに対してギターやピアノ、ドラムなどのトラックからオーディオデータを送る仕組みの事です。
各楽器のトラックに対してリバーブやディレイをそれぞれインサートして空間を作るとナルト、いくつものリバーブやディレイをインサートしないといけなくなり、CPU使用率が滅茶苦茶多くなります。
空間を統一する目的でリバーブやディレイを使うので、同じ設定のリバーブやディレイをそれぞれのトラックにインサートするのは無駄なので、センドリターンの使い方をするのDTMでは一般的です。
また、センドリターンでリバーブとディレイを使う場合にも、オートメーションを使う事で、急激に空間を小さくしたり、残響音を無くしたりする事で、楽曲の展開を明確に感じさせるといった効果を付ける事も可能です。
MIDIシーケンサーの打ち込み作業
MIDIシーケンサーとはMIDIデータを打ち込んだり編集したりするためのツールの事で、DAWソフトには必ずMIDIシーケンサーが付属しています。
MIDIシーケンサーで演奏情報の打ち込み作業を行うには、まず、トラックにMIDIイベントを挿入する必要があるので、メニューバーの「挿入」や「追加」と言った項目からMIDIイベントをトラックに追加しましょう。
追加したMIDIイベント上で右クリックすると、表示されたダイアログボックスの中に「MIDIシーケンサーで開く」や「MIDIエディターで開く」といった項目があるのでクリックすれば、DAW付属のMIDIシーケンサーで、そのMIDIイベントが開かれます。
ピアノロールにノートを打ち込む
MIDIシーケンサーの画面が表示されると、ピアノの鍵盤とマス目が表示されるエリアがあると思います。
そのエリアを「ピアノロール」と言います。
ピアノロールのマス目でダブルクリックすると、ノートと言う印が打ち込まれます。
このノートが音符の役割となり、ノートの長さが音符の長さ、ノートの縦の位置が音符の五線譜上の位置になります。
初期状態だと、MIDIシーケンサーのマス目は一つが四分音符になっています。
そして、マス目が四つ、つまり、四分音符が四つで区切り線があると思いますので、初期状態では四分の四拍子の表示になっています。
この表示は変更する事が出来て、「拍子」と表記されている箇所をクリックすれば、四分の三拍子や、八分の六拍子などの表示に変更できます。
BPMの変更
「BPM」とは、「Beats Per Minute」の事で、一分間辺りの拍の数、と言う意味です。
MIDIシーケンサーでMIDIイベントに打ち込んだノートなどのMIDIデータの再生速度は、DAWのBPMによって調節出来ます。
DAWソフト画面のどこかに「BPM」や「TEMPO」、または、日本語で「テンポ」と表記されている箇所があるので、その箇所をクリックすれば「BPM」の値を調節出来ます。
ただ、DAWに録音した楽器の演奏音などのオーディオデータは、BPMを変更しても、そのオーディオデータの速度で演奏音が再生されますので、もし、BPMを変更する場合には、もう一度、楽器の演奏を録音しないしましょう。
DAWでのボーカルの録音と編集
DAWソフトを使ってボーカルの録音を行うには、まず、接続しているオーディオインターフェイスとマイクをケーブルで繋いで、録音を行います。
録音されたボーカルのオーディオデータが、トラックのタイムラインに表示されていると思いますが、トランスポートパネルの再生ボタンをクリックして、そのオーディオデータをそのまま聴いてみると、初心者丸出しのボーカルに聴こえると思います。
個人の歌唱力の差はあると思いますが、単純に、DTMでボーカルの処理を行っていない歌声は、初心者や素人臭さが丸出しになってしまいます。
ボーカルの処理は、DTMでもかなり重要な作業で、ボーカルが綺麗に処理されていれば、楽曲の50%くらいは品質が保証されている状態になるといっても良いと思います。
DAWソフトでボーカルの処理を行う場合、いくつかのエフェクター系プラグインを使用します。
ボーカル処理に使用するプラグイン
ボーカルの処理に使用するプラグインには、以下のものがあります。
- イコライザー
- コンプレッサー
- ディエッサー
- エキサイター
- テープシミュレーター
イコライザー
イコライザーは、音質を調節するエフェクターで、オーディオデータの特定の周波数帯域を増幅・減少させる事が出来ます。
ボーカルの声がキンキン耳が痛い音になっている場合、高音域の周波数が多いので、高音域の周波数を帯域で減少させます。
また、ボーカルの声がコモッた感じでモコモコしている場合、中音域の周波数を減少させて、高音域の周波数を少し増幅させます。
コンプレッサー
コンプレッサーは、周波数を均一に圧縮するためのエフェクターです。
全体的に周波数のデコボコを揃える事で、音圧を向上させたり、高音域と中音域、低音域の周波数が均一の音量で感じられるようにする事で奥行き感を作り出したり出来ます。
また、マルチバンドコンプレッサーというタイプでは、特定の範囲の周波数帯域だけ圧縮処理を施すことが出来ます。
ディエッサー
ディエッサーは、人が「さしすせそ」や「たちつてと」といった子音の音が強い発音をする際に発生する「歯擦音」を除去するエフェクターです。
歌い出しなどで子音の音が強すぎる場合などには、ディエッサーを使って、耳にストレスを感じさせる歯擦音を除去しましょう。
エキサイター
エキサイターというのは、高音域の周波数を全体的に増幅するエフェクターです。
エキサイターと同じような処理をイコライザーでも行う事が出来るのですが、エキサイターの方が、高音域の周波数を自然に増幅してくれる感じがあるので、イコライザーだと上手くいかない時は、エキサイターを使ってみましょう。
テープシミュレーター
テープシミュレーターは、ボーカルの声に含まれる周波数に対して、カセットテープのような、アナログな雰囲気が感じられるようになる周波数を付加するエフェクターです。
多くの場合、低音域と高音域の周波数が少なめで、中音域が多めになるとカセットテープの様なアナログ感が付加されます。
もし、ボーカルの声がデジタルな感じになり過ぎている場合には、テープシミュレーターを使ってみましょう。
プラグインの使い方
DAWソフトを使った音楽制作では、必ずプラグインというものを使って音楽を作っていきます。
プラグインとは、ソフトの機能を拡張するプログラムなどの事で、DTMにおいては、DAWソフトから呼び出して使用するプログラムです。
そして、そのプログラムは、ソフトウェアの楽器や、ソフトウェアのエフェクターといったものとなっています。
DAWソフトでプラグインを使用するには、プラグインをセット(インサートとも言う)っしたいトラックの「FX」と書かれているボタンをクリックします。
そうすると、DAWソフトから呼び出せるプラグインを選択する画面が表示されるので、その中から使いたいプラグインを選択します。
また、新しくプラグインを使用したい場合には、DAWソフトがプラグインのファイルを呼び出すように指定しているフォルダへ、プラグインのファイルを格納します。
プラグインの規格
プラグインは、無料で使えるものもインターネット上で多く配布されているので、有料のプラグインを購入する前に、プラグインでどういった事が出来るのかを知るためにも、まずは、フリープラグインをダウンロードして使ってみましょう。
ただ、プラグインには「規格」があって、使用しているDAWソフトで使えるプラグインの規格が、ダウンロードしてきたプラグインの規格と違う場合には、DAWソフトから呼び出して使用する事が出来ません。
ですので、自分が使っているDAWソフトがプラグインの何の規格に対応しているのかを確認してから、プラグインをダウンロードしましょう。
一般的に使われているプラグインの規格は以下の三種類になっています。
Windows OS パソコンを使っているのであれば、CubaseやSONARなど、何のDAWソフトを使っていたとしても、多くの場合、VST規格のプラグインに対応していると思いますので、Windowsパソコンを使っている人はVST規格のプラグインをダウンロードしましょう。